菅義偉のポスターはなぜ不気味なのか

自民党菅義偉を使った新しいポスターを発表したがなかなかに不気味である。
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ポスターに写る菅義偉の目線はカメラを直視せず斜め上を向いている。
この構図は2017年の安倍晋三のポスターを意識したものなのだろうが、こちらでは安倍晋三は口を結んで真剣な表情をしている。
一方で、今回発表されたポスターの菅義偉は、笑顔とも言い切れないが微笑とでも言うべき曖昧な顔だ。
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視線を外して真剣な表情をするポスターは小泉純一郎も作っていた。このような構図のポスターは力強いリーダー像を演出するためのものだろう。
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福田康夫のポスターは笑顔だが、こちらは視線が真正面に向いている。このような構図のポスターは親しみやすさや誠実さを演出するために役立つだろう。
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菅義偉のイメージ戦略は、「令和おじさん」とか「パンケーキが好物」とかいった親しみやすい人物像を作り上げるためのものだったはずで、この戦略を継続するのなら福田康夫のように正面を向いて笑顔の写真を使ったポスターにしたほうが良いはずだ。
一方で、安倍晋三小泉純一郎のような、強いリーダー像を印象付けたいのであれば、表情はもっと真剣なものにするべきだ。

しかし、今回の菅義偉のポスターは視線を外しながら微笑するという中途半端なものになってしまった。そのせいで、このポスターを見る者は力強いリーダー像も親しみやすさも感じず、ただ菅義偉に無視されているかのような不快な感覚を味わうのである。このポスターが不気味なのはそのせいだろう。

せめてもう少しさわやかな笑顔の写真を使っていれば印象も変わってくるのだろうが、そのような意見を言える人間が菅義偉の周囲にはいないのだろうか。イメージ戦略について誰よりも詳しい電通から官邸に出向している職員は何をしていたのだろうと疑問に思わずにはいられない。